コラム - 掃除機

掃除機 - とにかく掃除機は吸い込みが大事。

掃除機は吸い込みが大事。ということで、そのパワーを表す「吸込仕事率」が各クリーナーメーカーのカタログやサイトには掲載されています。

そんな吸込仕事率は、目安として参考にするのは良いことですが、あまりこの数字だけで掃除機を選択するべきではないと考えます。

このページでは、その理由を解説いたします。
掃除機を選ぶ上で、必ず誰もがチェックする「パワー」。
掃除機のパワーとは、一体どのようなものなのでしょうか?

お店で手に取るカタログや、各クリーナーの公式サイトなどを見ると、掃除機には「吸込仕事率」というパワーの数字が表示されています。

この数字は知っている方は多く、高いほどパワーが強いということが言えるのは間違いありません。

吸込仕事率は、日本電機工業会で定める測定方法があり、風量(ゴミや空気を運ぶ強さ)と真空度(ゴミを床から吸い上げる強さ)を測定した数字をJIS規格の計算方法で算出したものをW(ワット)で表しています。

吸込仕事率の測定は延長管パイプから入ってくる空気の強さを測っていますので、吸い付きの強さ=掃除機のパワーということが言えます。

ただし、実はこの測定方法は、掃除機にとってもう一つ大事なパーツである「ヘッド」が付けられていません。

ヘッドというのは実際に掃除をする際、床のゴミを適切にかき出したり、吸い込んだり、寄せてきたりと、重要な役割をする部分になっています。

上記の測定方法では、ヘッドを接続すると吸込仕事率が変化してしまうことが考慮されておらず、またゴミを実際に使っていないため、ゴミがどれくらい取れるかについての言及もされておりません。

吸込仕事率とは別に、特に欧米のメーカーが表記するものとして、「集じん性能」(ダストピックアップ率とも呼ばれる)というものがあります。

集じん性能は、IEC(国際電気標準会議)で定められた測定方法で、決められたゴミのサンプルを、クリーナーヘッドをつけて実際に掃除した結果の数字ということで、吸込仕事率よりも具体的な測定方法と言えるのではないでしょうか。

「欧米のメーカーが好んで表記する」というのはどうしてかというと、国際基準であることと、吸込仕事率の測定では使用しない「ヘッド」の部分に考え方の違いがあります。

欧米のメーカーは家庭の環境として、カーペット敷きの家庭が多く、ヘッドの部分が基本的に国内のメーカーよりも床に密着して、カーペットの中のゴミをしっかり取るための作りになっている傾向にあります。

もとから吸込仕事率の概念は薄いため、ダイソンなど欧米のメーカーは集じん率を他社と比較して表示したり、測定した数字を表示しています。

例えば、この画像のように国内の普通のクリーナーは吸込仕事率600W以上出る機種があるのに、ダイソンのクリーナーは155Wくらいしか出ません。

これでダイソンのパワーが弱いとするのは早計で、実際はヘッドをつけると床への密着度やブラシの性能などで、ダストピックアップ率がダイソンのほうが高く出ることになります。

海外メーカーでは集じん性能が高いことが「パワーが強い」ことでもあり、逆に国内メーカーのクリーナーは軽く、動かしやすいヘッドを基本としているため、集じん性能はあまり高く出ず、吸込仕事率を表記して「パワーが強い」ということにしている傾向が強いわけです。

では、その集じん性能はどこで知るのかというと、これは残念ながら公式に表記しているところがほとんどありません。上記のダイソンのデータは第三者機関での測定と明記されていますが、「ダイソンのカタログに掲載されているんだから、ダイソンが一番強いように表示しているだけなんじゃないの」と疑問を持たれるのも当然のことです。

しかし、日本では監督官庁がクリーナー各社にダストピックアップ率の表示を義務付けているわけでもありませんし、はっきりとどの機種が一番集じん性能が高いという比較ができません。

上記の通り吸込仕事率が一番高いものを選んだとしてもそれは集じん性能とイコールではありませんので、掃除機を選ぶ際には店頭で試せる環境がある方はいくつか試してみて使いやすさを重視するか、ネット購買中心の方は各通販サイトのランキングを参考にするのがおすすめです。